ロングインタビューで香川真司がキャリアを語る「過去2年の選手で終わりたくない」

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kagawa1305211

SPOX: 香川選手、新しいお住まいはいかがですか?2014年夏にドルトムントに戻ってきてから、現在はモハメド・ジダンが住んでいたところで過ごされているわけですが。

香川真司: 良い言葉しか出てきませんね(笑)。今は彼が使っていた家具を利用しているのですが、改めてモウは、きっちりと揃えていたんだなと思いますよ。あと、僕が引っ越してきた時、彼は近所の人達を紹介してくれたんです。彼らはとても助けとなってくれ、サポートしてくれています。本当に素敵な場所で、住居のクオリティは高いですね。

SPOX: マンUに移籍する以前は、ギュンドアンやペリシッチと共に、同じ建物に住んでいました。

香川真司: あれももちろん、とてもクールな経験でしたよ。特に僕みたいにドイツに来たばかりの選手にとっては、助けになったところがありましたね。ただ今は、僕はむしろ一人で家で過ごすことが多いです。そこまでチームメイトと食事に出かけたりはすることはないですね。

SPOX: それはなぜでしょう?

香川真司: 練習場では定期的に一緒に食事をとって、たいてい夕食は一人で部屋でとる感じです。練習が終わったら、ほぼまっすぐ家に帰ります。次の試合に向けての準備、回復に取り組むためですけど、まるで出不精みたいですよね(笑)

SPOX: 以前は違ったんですか?

香川真司: ええ。食事や睡眠、ピッチ外の部分に関して、僕たちはトゥヘル監督に変わってから一新しました。就任当初から監督は、その部分についての考えを、とても明確にされていたんです。どの選手にとっても、これはとても良いことですし、チームの中で新たな意識が広がりをみせています。そこまで大きな違いがあるというわけではないんですが、でもちょっとしたことの積み重ねが、大きな効果を生み出していると思いますね。僕たちには多くの試合が控えていますし、それぞれが時間をできる限り有効に使う必要があると思いますね。

SPOX: 復帰された昨シーズンは、フィジカル面で問題を抱え、苦しむ結果となりました。トゥヘル監督の就任に関わらず、何か変化が必要だと感じられたのでは?

香川真司: 明らかに、そういえますね。プレーをするにあたって、しっかりと準備に取り組む必要がある、それでまた高いレベルになれるという、意識を持っていました。試合、練習、食事、回復。その循環をうまく繰り返していくことが重要なんだと。監督の助言によって、今はリズムを見出すことができていますし、以前とは明らかな違いを感じます。うまくいっていることは嬉しく思いますし、このまま続けていきたい。ただ常に伸びしろはあるもので、こういったプロセスが終わりを迎えることはありません。

SPOX: ご自宅には特注のベッドがあるそうですね。それでさらに快適に眠れるのでは?

香川真司: 回復ができるだけうまくできるよう、少し手を加えたところはあります。確信していることとして、良い選手になるには、長期的にこういうことに取り組んでいくべきだというものがあるんです。家の近くにはフィットネススタジオがあるのですが、そこへ時々エアロバイクに乗るために向かいます。トゥヘル監督は回復についてとても大切に考えていて、具体的に指示を繰り返すことによって、選手達の意識を高めてくれているんです。

SPOX: どうやらドルトムントの選手たちは、この新しい試みを瞬時にうまく取り込んだようですね。

香川真司: とてもポジティブにできていると思いますよ。これで新たに切れがでてきますし、試合に向けてとても良い準備が行え、集中を保てています。練習の雰囲気は、とてもパフォーマンスを重視した感じとなっていて、その点についても監督に感謝しているところです。それによって僕は自信を回復させていますし、チームも勝利を重ねることができていると思います。

SPOX: ドルトムントは2位の座をしっかりと確保している感があります。バイエルンとの差はありますが、3位以下との差もありますね。ここまでのシーズンについては、どのようにお考えですか?

香川真司: いいと思います。僕たちのスタイルはとても魅力的ですし、来季にCLで戦えるということを目標としているところです。ドルトムントが持っているポテンシャルを発揮できた試合も、これまで何試合か見せることができました。もちろん、ヴォルフスブルクに勝利したことが大きかったと言えるとも思います。上にいるバイエルンは、大きなクオリティをもち、素晴らしいシーズンを過ごしているところです。2位として上を見るところはありますが、しかし下にも目を向けて、差をキープ、できれば広げていければいいですね。そしてシーズンの最後で、まだ上を狙えるチャンスが少しでもあるなら、その時はもちろんそのチャンスを活かすためにがんばりたいと思います。

SPOX: ここまで公式戦24試合に出場して、8得点8アシストを記録されています。リーグ制覇を成し遂げた2011、2012年の、”かつての”香川が戻ってきたと見る声もありますが、ご自身のパフォーマンスについては満足されていますか?

香川真司: 代表戦期間後の最初の2試合、ハンブルク戦とシュトゥットガルト戦は、よくなかったと思います。そのことには腹立たしく感じていますし、スタッツに関しては、自分では批判的に見ていますよ。得点とアシストについては、十分な結果とは言えないと思っています。もっといいプレーをして、とくにコンスタントに、どの試合でも得点に絡んでいきたいですね。これは1つの挑戦ではありますが、僕は貪欲に上を目指していきたいと思っていますし、練習で改善していきたいです。今は満足感は感じていません。

SPOX: 昨年ドルトムントに戻ってきて、移籍前のような活躍が見せられませんでしたが、そのときはいかがだったのでしょうか。

香川真司: 期待はとても大きかったですね。ファンも、そしてメディアもすぐに、大きなインパクトが与えられると思っていました。その期待に応えられなかったことは申し訳なく思います。批判は正しいものでしたし、僕自身そのことについて向かい合いました。ドルトムントのように勝利が求められるクラブにいれば、批判されることは比較的早く起こってしまうものです。サッカーでは結果が求められますし、うまくできれば賞賛され、そうじゃなければ批判を受けてしまうもの。そういったことに影響を受けないようにして、昨シーズンのような波の激しいパフォーマンスは見せないようにしたいと思います。

SPOX: ”かつて”の香川をもう一度目にすることができるのでしょうか?

香川真司: ”かつての”香川というものがないと思います。逆に”新しい”香川もないのではないでしょうか。普段よりもうまくプレーできたときは、またそれを続けたいと思うものです。過去2年間の記憶だけで残る選手にはなりたくない。以前のようにプレーできるかどうかが重要なことではありませんよ。

SPOX: 何を重要視されているのでしょう?

香川真司: トゥヘル監督の下では、オフェンスのポジションであれば複数でプレーできる状態でなくてはいけませんし、いいパフォーマンスを発揮する必要もあります。これは僕にとっては、ちょっと新しいことです。4−3−3システムでは、常に典型的なプレイメイカーが求められているわけではありません。この新しい役割は、攻守にわたってとても多くのことが求められますし、僕自身このことにとても刺激を受け、今のところはうまくこなせているとおもいます。


epa03707834 Manchester United's manager Sir Alex Ferguson (C) applauds supporters after the English Premier League soccer match between West Bromwich Albion and Manchester United at the Hawthorns in Birmingham, Britain, 19 May 2013. The match, which ended 5-5, was Ferguson's last before retiring.  EPA/DAVID JONES DataCo terms and conditions apply. https://www.epa.eu/downloads/DataCo-TCs.pdf

epa03707834 Manchester United’s manager Sir Alex Ferguson (C) applauds supporters after the English Premier League soccer match between West Bromwich Albion and Manchester United at the Hawthorns in Birmingham, Britain, 19 May 2013. The match, which ended 5-5, was Ferguson’s last before retiring. EPA/DAVID JONES DataCo terms and conditions apply. https://www.epa.eu/downloads/DataCo-TCs.pdf

SPOX: マンチェスター・ユナイテッドでは思うようなシーズンを過ごせず、2年目ではモイーズ監督の下でベンチに座る時間が多くなりました。プレミアでの時間で得たものはなんでしょうか?

香川真司: ものすごいプレッシャーにさらされた中で、まさにトップレベルというパフォーマンスを見せる、そのために必要なものですね。

SPOX: そのために必要なことは?

香川真司: 卓越した個人の能力もありますし、あと自信と才能。ピッチで高いパフォーマンスを発揮して結果を得るためにですね。メンタル面でうまく見せられないと、ベンチに座ることになったり、チームを去ることになったりします。とてもハードなことですが、すぐにわかることです。マンUのようなクラブで偉大な選手たちと共に過ごし続けるには、僕みたいな小さくでフィジカルで劣るような選手は、とくに多く練習をこなして、断固たる気持ちをもって、日々取り組み続けなくてはいけません。一歩一歩前進するために。それが唯一の可能性なんですよ。

SPOX: ファーガソン監督から思い起こされることはなんでしょうか?移籍された年は、同氏にとって最後の年でもありました。

香川真司: 練習は他のコーチに一任されていましたが、特に試合前や試合当日にはとても存在感がありました。彼の英語を理解するのに、みんなが時間を要していたことを思い出します(笑(スコットランド出身のため)。彼の最後の年に一緒に戦えたことは、僕にとってファンタスティックな経験でした。彼はとても多くのタイトルを獲得した人物ですし、まさにレジェンドですよ。

SPOX: とても声が大きかったのでは?

香川真司: まさにそうですね。ある試合のハーフタイムで思いっきり怒鳴られたことがありました。それ以外はそこまでではなかったんですけど。もしかしてあまり見えなかったかもしれないです(笑。移籍前から聞いてはいたのですが、本当に驚きました。あんなにも声が多いな声で叫ぶ監督は、見たことがありませんよ。まる台風のようですよ。特に主力選手に対しては、真っ赤な顔で怒鳴りつけてましたね。

SPOX: それでも反論は特にされなかったんですよね?

香川真司: そうですね。ルーニーやギグス、スコールズやフェルディナントといったような選手たちに対してさえ、そのような対応していたことを考えると、彼の人間性・存在感のすごさが伝わりますよね。そういう選手たちが、口答えをすることが決してない。それは彼のことをとてもリスペクトしているからです。ファーガソン監督が醸し出すオーラや推進力は、本当に見事なものでした。だからこそ、あれほどのトッププレヤーたちを、長年にわたって束ねることができたのでしょうね。

SPOX: マンチェスター・ユナイテッド時代では、少し下降線を描き、復帰へと至りました。移籍を後悔する考えはありますか?

香川真司: いいえ、全くありません。マンUへの移籍は正しい、いい決断だったと思います。そこで他のクラブでは決してできない、多くの経験を積むことができました。どれほどこのクラブが大きなものか、世界中から注目を浴びるのかを肌で感じましたし、いいパフォーマンスを発揮すればすぐに受け入れられる。選手として、そして人間としても成長できたと思っています。

SPOX: 移籍の決断をクロップ監督に伝えたとき、数分にわたって泣きながら抱擁されたそうですね。

香川真司: はい。移籍の決断を伝えに彼のところに行きました。そこで2年間の素晴らしい時間を彼の下で過ごした、その感謝の気持ちを伝えたかったんです。J2の選手から来た僕を、彼の助けのおかげで、子供のころに憧れていたクラブに移籍できるようになった。彼は僕自身のこと、そして新しい挑戦を喜んでくれ、抱きしめられた時にそういったことを全部思い出したんです。それから自然に涙がこぼれてきたんですよ。そのあとで、少し恥ずかしかったですけどね。

SPOX: 特にクロップ監督のどのようなスタイルがよかったと思われますか?

香川真司: 彼の感情的な部分。それはゴールシーンだけでなく、いかに彼がチームを鼓舞するか、彼のコミュニケーションスタイルや、選手みんなに愛情を注いでいるかにも見て取ることができます。見知らぬ国の2部でプレーしていた僕を、彼は信頼して起用してくれたんです。このことを忘れることは決してありません。僕たちの関係は多くの成功と感動的な経験から、常に密接なものなんです。

SPOX: そしてドルトムント復帰の理由でもあった。

香川真司: その通りです。彼がメインの理由でした。また彼の下で練習したりプレーしたりできる。それは決め手となりましたね。それにドルトムント首脳陣との話し合いもとても情熱的でした。だから決断はそんなに難しいものではありませんでしたよ。

SPOX: クロップ監督が指揮するリヴァプールの試合はご覧に?

香川真司: はい。あれほど早く、そして多彩にクラブを変えていくというのは、とても興味深いことですね。スタイルはすでに大きく変化していますよ。残りのシーズンの戦いが楽しみです。今はかなりうまくいっていますし、ユルゲン・クロップという人物が、いかにファンタスティックな監督であるかを示していると思います。これからもこれが続いていくことを期待していますよ。

キッカー紙

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